残価設定型住宅ローンとは?残クレとの違い・デメリット・向いている人を建築士が解説

悩んでいる人残価設定型住宅ローンなら、月々の返済をかなり安くできるって本当?
車の残クレみたいに、最後は家を返せばローンがなくなるんですか?
住宅価格と金利が上がるなか、この質問が増えています。



結論からいうと、残価設定型住宅ローンは将来の選択肢を増やせる一方、高すぎる家を買えるようにする魔法のローンではありません。
しかも現在の日本では、仕組みが異なる商品が同じ「残価設定型住宅ローン」と呼ばれています。
ここを知らずに「月々が安い」という部分だけを見ると、老後まで大きな残債を抱えたり、メンテナンスや売却の条件に縛られたりする可能性があります。
この記事では、建築士で元ハウスメーカー社員の筆者ぽりんきが、残価設定型住宅ローンの仕組み、メリット・デメリット、自動車の残クレとの違い、団信やメンテナンスの注意点を解説します。
YouTube台本でお話しした「月々返済を将来へ送る怖さ」は残しつつ、2026年に創設された住宅金融支援機構の保険制度と、すでに提供されているJTIの残価保証制度を分けて整理しました。
- 残価設定型住宅ローンの仕組み
- 2026年時点で存在する2タイプの違い
- 自動車の残クレと住宅ローンの違い
- 通常ローンとの月々返済・総負担の比較
- 残価部分にも利息がかかる理由
- 売却・団信・メンテナンス・災害時の注意点
- 向いている人とおすすめしにくい人
- 契約前に金融機関へ聞く質問
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結論|残価設定型住宅ローンは「予算を増やす道具」にしない
残価設定型住宅ローンの判断基準を先にまとめます。
- 月々返済が下がっても、家の価格は安くならない
- 残価部分の元金を返さない期間も、利息が発生する商品がある
- 通常ローンより総負担が増える可能性が高い
- 売却や買取で追加負担が出ない条件は商品ごとに異なる
- 認定長期優良住宅や指定事業者など対象条件がある
- 長期メンテナンスを続けないと保証が失効する場合がある
- 団信の対象範囲は返済額軽減の前後で変わることがある
- 通常ローンでも返せる予算の人が、将来の選択肢として使うのが基本



僕が一番避けてほしいのは、「普通のローンでは5,000万円が限界だけど、残価設定なら7,000万円の家に届く」という使い方です。
返済の一部を将来へ残しただけで、家計の体力が増えたわけではありません。
なぜ2026年に残価設定型住宅ローンが注目されている?
背景には、住宅価格の上昇と住宅ローンの長期化があります。
土地、建材、住宅設備、人件費が上がり、以前と同じ予算では同じ家を建てにくくなりました。
一方で、収入が住宅価格と同じペースで増えている家庭ばかりではありません。
そこで増えたのが、ペアローン、収入合算、40年・50年ローンです。
これらは悪い仕組みではありません。ただ、月々返済を小さく見せるほど、退職時に残る元金は大きくなります。
2026年6月、三菱UFJ銀行が案内する新規借入の変動金利は年0.945%です。数年前の0.3〜0.4%台を前提に資金計画を立てた方から見ると、1%前後は家計へ無視できない差になります。
- 住宅価格が上がり、借入額が増えている
- 35年では月々返済が高く、返済期間が長期化している
- 退職後も現役時代と同じ返済額が残りやすい
- 変動金利の上昇で、将来返済への不安が増えている
- 住み替え時に売却価格より残債が多い問題が起きやすい
残価設定型住宅ローンは、この「老後の返済」と「オーバーローン」を解決する目的で作られています。
その目的自体は合理的です。
問題は、販売現場で「高い家でも月々を抑えて買える商品」として使われる可能性があることです。



住宅価格が上がった穴を、ローンの仕組みだけで埋めようとすると危険です。
家の価格が高すぎる問題と、返済方法の問題は分けて考えましょう。
残価設定型住宅ローンとは?
残価設定型住宅ローンは、将来の住宅価値を「残価」として設定し、その価値を返済や買取の仕組みに組み込んだ住宅ローンです。
ただし、現在は大きく2つの仕組みがあります。
| 比較 | 残価据置型 | 将来オプション型 |
| 主な制度 | 住宅金融支援機構の特定残価設定ローン保険を活用 | JTIの残価保証を活用 |
|---|---|---|
| 当初返済 | 残価以外の元金を返済し、残価部分は利息中心 | 最初は通常の住宅ローンと同様 |
| 返済軽減 | 借入当初から月々を軽減 | 残価設定月以降にオプション行使 |
| 最後の返済 | 死亡・住み替え時などに売却して残価を返済 | 買取または新型リバースモーゲージへ転換 |
| 対象 | 取扱金融機関の商品条件による | JTI認定事業者、認定長期優良住宅など |
| 提供状況 | 2026年に保険制度を創設。販売時期は金融機関ごと | 指定金融機関で提供 |
住宅金融支援機構は2026年3月、民間金融機関による残価設定型住宅ローンを支援する「特定残価設定ローン保険」を創設しました。商品内容と販売開始時期は金融機関によって異なります。(住宅金融支援機構「特定残価設定ローン保険」)
一方、移住・住みかえ支援機構(JTI)の制度は、当初から返済額を下げる自動車型の残クレとは違います。
最初は通常の住宅ローンを返し、ローン残高が保証残価へ近づく「残価設定月」以降に、返済額軽減や買取のオプションを使える仕組みです。(JTI「残価保証と残価設定型住宅ローン」)
車の残クレとの違い
「住宅版の残クレ」という言葉から、3年後や5年後に家を返す仕組みを想像する方もいます。
自動車の残価設定ローンは、数年後の残存価格を設定し、残価を除いた金額を返済することで月々を抑える商品です。満了時に返却・買取・乗り換えなどを選びます。
住宅は同じように扱えません。
- 住宅ローンは35〜50年と期間が長い
- 建物だけでなく、場所ごとに価格が違う土地を含む
- 災害・人口・地域需要・管理状態で価値が大きく変わる
- 家族が長期間暮らし、増改築や劣化が起きる
- 売却や相続に時間と手続きがかかる
JTIは、家賃収入をもとに将来価値を保守的に算定し、長く貸せる住宅を対象に残価保証を行います。
つまり、「何年後でも新築価格の半分で売れる」と約束する仕組みではありません。



住宅の残価は、車の下取り価格よりずっと複雑です。
駅からの距離、土地需要、災害リスク、点検記録まで関係するので、「大手メーカーなら値下がりしない」とも言い切れません。
残価据置型はどれくらい返済が下がる?
国土交通省の2026年度資料には、住宅金融支援機構の保険制度を活用した試算例があります。(国土交通省「2026年度住宅ローン関連資料」)
借入額6,000万円、35歳から70歳までの35年で比較すると、次のとおりです。
| 項目 | 通常ローン | 残価設定型の試算 |
| 借入額 | 6,000万円 | 6,000万円 |
|---|---|---|
| 残価 | なし | 1,800万円 |
| 35〜70歳の返済対象元金 | 6,000万円 | 4,200万円 |
| 当初金利 | 年0.7% | 返済部分0.8%・残価部分1.8% |
| 35〜70歳の月々返済 | 16.1万円 | 14.2万円 |
| 70歳以降 | 完済 | 残価部分の利息2.7万円/月 |
| 87歳までの返済総額例 | 約6,767万円 | 約6,502万円+物件売却代金 |
月々の差は約1.9万円です。
台本では「7,000万円の家でも半分の月9万円」と説明していましたが、実際の試算はそのような単純計算ではありません。
残価部分は元金を返さなくても、利息を払います。
残価部分の金利が通常返済部分より高ければ、月々の軽減効果はさらに小さくなります。
月1.9万円の差をどう見るか
月1.9万円なら、年間22.8万円、35年で約798万円です。
教育費や老後資金へ回せるなら大きな余白です。
ただし、浮いたお金を住宅価格の上乗せへ使えば、家計は楽になりません。



返済額が下がった分を貯蓄・教育費・資産形成へ回せる人には意味があります。
「月14万円なら払えるから、さらに借りよう」と考えた瞬間、制度のメリットが消えます。
JTIのオプション型は「20年後に家を返す」仕組みではない
JTIの残価保証を使うタイプでは、当初は一般的な住宅ローンと同様に返済します。
残価設定月は家や借入条件によって異なります。北洲ハウジングの案内では、35年・9割融資の場合、20〜25年程度が目安とされています。(北洲ハウジング「残価設定型住宅ローン」)
残価設定月以降、主に次の選択肢があります。
- そのまま元金返済を続けて完済を目指す
- 返済額軽減オプションを使う
- 余裕がある月は追加返済する
- 市場で住宅を売却する
- 買取オプションを使い、ローン残高と同額で買い取ってもらう
- マイホーム借上げ制度で賃料を返済へ回す
返済額軽減オプションを使うと、新型リバースモーゲージへ転換し、保証残価以上の元金を返さないことで月々を圧縮します。
「20年後に2,000万円を必ず一括請求される」「その場で再ローンを組むしかない」という一律の仕組みではありません。
残価より高く売れる場合
買取オプションは権利であり、義務ではありません。
市場でローン残高より高く売れるなら、通常売却を選び、ローン完済後の差額を受け取れます。
逆に、保証条件を満たし買取オプションを使えるなら、ローン残高と同額で買い取ってもらえるため、売却後に残債だけ残るオーバーローンを回避できます。
買取保証の対象、追加負担の有無、土地を含む範囲、諸費用、免責条件は商品ごとに確認が必要です。「残価設定」という名前だけで追い金がないとは判断できません。
残価はどうやって決まる?
残価は、住宅会社が営業トークで自由に決める金額ではありません。
JTIの制度では、将来その家を貸した場合に見込める家賃をもとに、残価設定月と買取保証額を算定します。
将来の売買価格をぴったり予言するのではなく、賃貸運用から回収できる価値を保守的に見る考え方です。
- 土地の場所と将来の賃貸需要
- 最寄り駅、生活利便性、周辺人口
- 建物の耐久性と住宅性能
- 認定長期優良住宅かどうか
- 点検・修繕を継続できる体制
- 災害リスクと貸しやすさ
- 借入額・返済期間・金利条件
建物が高額なら残価も高いとは限らない
注文住宅で4,000万円かけた建物だから、20年後も2,000万円の価値が保証されるとは限りません。
こだわりの造作、輸入設備、大きすぎる間取りなどは、建築主にとって価値があっても、将来の買主や借主に同じ金額で評価されるとは限らないからです。
反対に、派手ではなくても、駅や学校に近く、使いやすい間取りで、点検記録が揃った家は、貸しやすさを評価される可能性があります。



資産価値は「いくらかけたか」だけでは決まりません。
次の人が住みたいと思うか、無理なく維持できるか。この視点は、残価設定型を使わない家づくりでも大切です。
残価設定月は固定ではない
JTI型の残価設定月は、すべての家庭が20年後になるわけではありません。
借入額、金利、返済期間、繰り上げ返済などで変わります。
金利が変わったり期限前返済を行ったりすると、残価へ到達する時期も調整されます。
契約時には「残価はいくらか」だけではなく、「何歳の何年何月に残価設定月を迎えるか」を確認してください。
3つの家族で向き不向きを考える
同じ商品でも、家族の目的によって評価は変わります。
ケース1|35歳、子育て中。70歳まで同じ家に住みたい
夫婦は、老後も現在の家に住み続けたいと考えています。
子どもへ家を残す可能性もあり、定年までにローンをなくしたい家庭です。
この場合、残価据置型は慎重に考えた方がよいでしょう。
70歳時点で大きな残価が残り、売却しないなら利息負担が続く可能性があります。
- 通常35年ローンで完済できないか
- 残価を現金・繰り上げ返済で減らせるか
- 配偶者が一人になっても住み続けられるか
- 相続時に子どもが家と債務を希望するか
ケース2|35歳、転勤可能性あり。50代で住み替えたい
子どもが独立したら、コンパクトな家や駅近マンションへ移りたい家庭です。
この場合、買取保証や借上げ制度には意味があります。
売却時のオーバーローンを防げれば、住み替えの選択肢を残しやすくなります。
- 住み替え時期が残価設定月以降になる
- 対象地域の賃貸需要が見込める
- メンテナンス記録を継続できる
- 市場売却と買取保証を比較できる
ケース3|普通のローンでは予算不足。残価設定なら買える
希望住宅は6,000万円ですが、通常ローンで安全に返せる上限は4,500万円です。
残価設定型なら月々返済が予算内になるため、契約しようとしています。
このケースは、最も慎重に考えてください。
月々が下がった理由は、返済能力が上がったからではなく、元金の一部を老後や売却時へ送ったからです。
残価設定型住宅ローンのメリット
危険性ばかりが注目されますが、目的が合えばメリットもあります。
1|月々返済を抑えられる
残価据置型では、現役中に返す元金を減らせます。
JTIのオプション型でも、役職定年や退職後に返済額を軽減できます。
子どもの教育費と重なる時期や、老後の収入減に備える選択肢になります。
2|オーバーローンを防ぎやすい
保証条件を守り、買取オプションを使える状態なら、売却価格がローン残高を下回るリスクを抑えられます。
転勤、介護、離婚、相続などで家を手放す場面では、大きな安心材料です。
3|住み替えや老後の選択肢を残せる
「一生この家に住む」と35歳で決めても、20年後の家族構成はわかりません。
子どもが独立し、広い家が不要になることもあります。
返済軽減・売却・賃貸の選択肢をあらかじめ持つことには価値があります。
- 通常ローンでも無理なく返せる予算に収まっている
- 将来の住み替えを具体的に考えている
- 長期優良住宅を適切に維持管理できる
- 浮いた返済額を貯蓄・教育費へ回せる
- 家を子どもへ必ず残すことにこだわらない
- 保証条件や契約書を細かく確認できる
デメリット1|月々は下がっても総負担が増えやすい
残価部分の元金を据え置いても、利息まで消えるわけではありません。
長期間、大きな元金が残るため、支払利息は膨らみやすくなります。
さらに売却して残価を返す場合、手元から現金を出さなくても、住宅という資産を差し出して返済しています。



月々返済だけ比べると安く見えます。でも本当に比べるのは、利息、手数料、メンテナンス、売却する家の価値まで含めた総負担です。
デメリット2|老後も元金が大きく残る
残価据置型は、35年返済後も残価が残ります。
その時点で売却せず住み続けるなら、残価部分の利息や契約上の支払いが続く可能性があります。
「定年までに住宅ローンを完済して、年金生活の固定費を下げたい」という家庭とは相性がよくありません。
50年ローンとの違いも確認したい方は、50年ローンはやばい?35年との違いも参考にしてください。
デメリット3|対象住宅と地域が限られる
JTIの残価保証は、JTIが認定した事業者が施工する、自己居住用の認定長期優良住宅などが対象です。
市街化調整区域は対象外で、賃貸が難しい地域や住宅も対象外になる場合があります。
「高性能住宅ならどこでも利用できる」わけではありません。
- 住宅会社が残価導入企業か
- 認定長期優良住宅を取得できるか
- 建築地が対象地域か
- 利用適合証明書を発行できるか
- 指定金融機関の審査に通るか
- 残価保証確認証の発行費用はいくらか
デメリット4|メンテナンスの自由度が下がる
20年以上先の価値を保証する以上、適切な維持管理が条件になります。
JTIでは、認定された長期メンテナンスプログラムの実施が利用条件です。
点検や修繕を断ったり、記録を残さなかったりすると、保証へ影響する可能性があります。
ただし、台本の「住宅会社から300万円を要求され、断ると残価を取り消される」という表現は一律にはいえません。
確認すべきなのは、次の内容です。
- 点検時期と費用
- 指定工事業者の有無
- 必須工事と推奨工事の違い
- 他社施工が認められる範囲
- 修繕を見送った場合の保証への影響
- 点検・工事記録の保管方法
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デメリット5|団信は「残価まで全部消える」と限らない
団体信用生命保険の扱いは、商品タイプとオプション行使前後で変わります。
JTIのオプション型は、返済額軽減後の新型リバースモーゲージへ原則団信を付けられません。民間金融機関では一定年齢まで付保できる場合があります。
債務者が亡くなった場合、相続人は家とローンを承継します。
相続人が家を残したいなら返済方法を考える必要があります。一方、家を引き継がない場合は、一定条件で買取オプションがみなし行使され、JTIが返済を引き受ける仕組みがあります。
デメリット6|災害や無断賃貸で保証が失効することがある
JTIの案内では、災害などで居住が困難な状態になった場合、オプション証明書が失効します。
また、JTIの残価保証を使う住宅を賃貸する場合、マイホーム借上げ制度以外で運用すると証明書が失効する可能性があります。
- 地震・水害・火災で全損した場合の扱い
- 火災保険と地震保険の必要補償額
- 増築・間取り変更の事前承認
- 転勤時に利用できる賃貸制度
- 空室時の家賃保証条件
- 保証が失効した場合のローン条件
デメリット7|月々の安さで住宅予算が膨らみやすい
これが、住宅相談の現場で僕が最も心配している点です。
住宅会社から「普通のローンなら月16万円ですが、残価設定なら月14万円です」と言われると、2万円分オプションを増やしても大丈夫に見えます。
でも、その2万円は将来へ送った返済です。
固定資産税、火災保険、修繕費、教育費は別にかかります。



家を買う目的は、ローン審査に通ることではありません。
旅行や習い事を全部我慢せず、家族が住んだあとも笑って暮らせることです。
借りすぎが不安な方は、住宅ローン4,000万円がきつい人の特徴も確認してください。
残価設定型住宅ローンをおすすめしにくい人
- 通常ローンでは希望額を借りられない
- 月々返済を下げた分だけ住宅予算を上げたい
- 定年前に住宅ローンを完済したい
- 家と土地を必ず子どもへ残したい
- 指定メンテナンスを続ける余裕がない
- 建築地の資産価値や賃貸需要が弱い
- 契約条件を確認せず、営業担当の説明だけで決める
普通の住宅ローンで返せない家は、残価設定型でも高すぎる可能性があります。
予算を下げる、土地の範囲を広げる、建物を少しコンパクトにする、設備の優先順位を見直す。
この調整をしたうえで、それでも残価保証に価値を感じるかを考えてください。
契約前に比較する3つの返済プラン
残価設定型だけの提案書を見て決めないでください。
- 通常35年ローン
- 通常40年・50年ローン
- 残価設定型住宅ローン
3つについて、同じ借入額・同じ諸費用条件で比較します。
| 比較項目 | 確認する内容 |
| 月々返済 | 当初、金利上昇後、退職後 |
|---|---|
| 総返済額 | 利息・手数料・残価返済まで含む |
| 70歳時点の残高 | 定年後に残る元金 |
| 売却条件 | 買取保証、追い金、諸費用 |
| 団信 | 残価部分と軽減後の保障 |
| 維持費 | 必須点検・指定修繕 |
| 自由度 | 賃貸、増改築、売却先 |
金利が上がった場合も比較する
2026年6月の三菱UFJ銀行の新規変動金利は年0.945%と案内されています。金利は今後も変わる可能性があります。(三菱UFJ銀行「住宅ローン金利」)
残価部分の元金が長く残るほど、金利上昇の影響を受ける期間も長くなります。
変動金利の仕組みは、日銀利上げで住宅ローン返済額はいくら増える?で詳しく解説しています。
申込みから将来の売却までの流れ
具体的な手順は制度・金融機関で異なりますが、JTI型を例にすると次のように進みます。
- STEP1|対象住宅会社と建築地を確認する
- STEP2|認定長期優良住宅を前提にプランを作る
- STEP3|住宅事業者が利用適合証明書を申請する
- STEP4|指定金融機関の通常の融資審査を受ける
- STEP5|残価・残価設定月・保証条件を確認する
- STEP6|オプション証明書を発行して契約する
- STEP7|定期点検・修繕を行い記録を残す
- STEP8|残価設定月以降に返済継続・軽減・売却を選ぶ
契約時に将来の売却先まで決めるわけではない
残価設定月を迎えたら、必ず保証機関へ家を渡すわけではありません。
住み続けて返済を続ける、市場で高く売る、返済額を軽減する、買取保証を使うなど、条件に応じて選びます。
ただし、その選択肢を残すためには、契約後の点検や修繕、用途変更などのルールを守る必要があります。



残価保証は、20年後に突然使う制度ではありません。
建てた日から、価値を維持する暮らしと記録が始まります。
残価設定型以外に検討したい4つの方法
月々返済を抑えたいからといって、残価設定型だけが答えではありません。
1|住宅予算を下げる
一番地味ですが、一番確実です。
建物を2〜3坪コンパクトにする、土地のエリアを広げる、造作や設備の優先順位を決める方法があります。
月々2万円をローン商品で下げる前に、総額を500万円下げられないか検討してください。
2|通常ローンで返済期間を比較する
35年・40年・50年を同じ借入額で比較し、浮いた返済額を繰り上げ返済や資産形成へ回す方法です。
ただし、50年ローンも借入額を増やすために使えば同じ問題が起きます。
3|頭金を入れすぎず、現金を残す
月々を下げるために貯金をすべて頭金へ入れると、引っ越し、家具、外構、出産、車の買い替えに対応できません。
頭金を増やすか、生活防衛資金を残すかは、家族条件で判断します。
4|住宅会社とローンを別々に比較する
住宅会社から紹介された金融機関だけで決めず、通常ローン、固定金利、変動金利、残価設定型を同じ借入額で比較します。
- 建物総額を下げた通常ローン
- 返済期間を変えた通常ローン
- 金利上昇を入れた変動金利
- 全期間固定金利
- 残価と売却まで含む残価設定型
比較する会社や住宅ローンが多くて整理できない場合は、最初に「住宅会社の予算」と「金融機関の返済条件」を分けて考えてください。



営業担当から「残価設定なら返済比率に収まります」と言われても、それだけで契約しないでください。
返済比率に収まることと、教育費や老後資金を残せることは別です。
最低でも、通常ローンで借入額を500万円下げた案と、残価設定型で希望額を借りた案を並べましょう。
月々だけではなく、10年後の残高、70歳時点の残高、売却しない場合の支払い、必須メンテナンス費まで金額で出すと、どちらが家族に合うか見えやすくなります。
金融機関と住宅会社へ聞く質問15個
- この商品は残価据置型ですか、将来オプション型ですか
- 当初から返済しない元金はいくらですか
- 残価部分の金利はいくらですか
- 残価部分の利息はいつまで払いますか
- 通常ローンより総負担はいくら増えますか
- 残価設定月はいつですか
- 売却せず住み続ける場合はどうなりますか
- 買取時に追加負担が出ない条件は何ですか
- 市場価格が残価を上回った場合は自由売却できますか
- 団信は残価部分にも適用されますか
- 死亡後、配偶者が住み続ける条件は何ですか
- 必須の点検・修繕と費用を一覧でもらえますか
- 他社で修繕した場合、保証は失効しますか
- 災害・増築・賃貸で保証が失効する条件は何ですか
- 住宅会社や保証機関がなくなった場合はどうなりますか



営業担当がその場で答えられなくても問題ありません。
大切なのは、金融機関・保証機関へ確認し、契約書と商品説明書で回答を残すことです。
残価設定型住宅ローンのよくあるQ&A
- 残価設定型住宅ローンとは何ですか?
-
将来の住宅価値を残価として設定し、残価部分の元金を据え置く、または将来の返済軽減・買取オプションへ活用する住宅ローンです。仕組みは商品ごとに異なるため、残価据置型か将来オプション型かを確認してください。
- 車の残クレと同じですか?
-
同じではありません。住宅は返済期間が長く、土地価格や地域需要、維持管理の影響も受けます。JTIのオプション型は最初から返済を減らすのではなく、当初は通常ローンとして返済し、残価設定月以降に軽減や買取を選びます。
- 残価設定型なら月々返済は半分になりますか?
-
一律に半分にはなりません。国土交通省の6,000万円借入の試算では、通常ローン月16.1万円に対し残価設定型は月14.2万円です。残価部分にも利息がかかるため、残価を差し引いた割合だけ返済が下がるわけではありません。
- 最後に家を返せば借金は必ずゼロになりますか?
-
保険や残価保証の条件を満たし、残価以外の元金を返済したうえで所定の買取を利用できる場合、追加負担を防げる仕組みがあります。ただし、保証失効、諸費用、対象範囲などは商品ごとに違うため確認が必要です。
- 残価より高く売れる場合も家を返す必要がありますか?
-
JTIの買取オプションは権利であり義務ではありません。市場でローン残高より高く売れるなら通常売却を選び、完済後の差額を受け取れます。新しい保険型商品も自由売却の条件を商品説明書で確認してください。
- 残価部分にも利息はかかりますか?
-
残価据置型では、元金を返さない期間も残価部分の利息を支払う設計があります。国土交通省の試算では、残価部分に年1.8%の金利を設定しています。実際の金利は金融機関の商品によって異なります。
- 団信で残価もなくなりますか?
-
商品によって異なります。JTIのオプション型は返済額軽減後、原則として団信を付けられませんが、一定年齢まで保障する金融機関もあります。死亡時の買取、相続人の負担、配偶者の居住継続を確認してください。
- メンテナンスを断るとどうなりますか?
-
残価保証には長期メンテナンスプログラムの実施が条件となる場合があります。必要な点検や修繕を行わないと保証へ影響する可能性があるため、必須工事、費用、業者指定、失効条件を書面で確認しましょう。
- どの住宅会社でも利用できますか?
-
利用できません。JTIの制度では認定された残価導入企業が施工する認定長期優良住宅などが対象です。住宅金融支援機構の保険型も取扱金融機関と商品条件が限られます。
- 残価設定型住宅ローンはおすすめですか?
-
通常ローンでも無理なく返せる家庭が、老後の返済軽減や住み替えの選択肢を確保する目的なら検討余地があります。通常ローンでは届かない高額物件を買うために使うのはおすすめしにくいです。
まとめ|月々返済ではなく、最後に何が残るかで判断する
- 2種類の残価設定型を区別する
- 通常ローンと同じ借入額で比較する
- 残価部分を含む総負担を見る
- 70歳時点の残高と住み方を決める
- 保証失効条件とメンテナンス費を確認する
- 死亡時に家族が住み続けられるか確認する
- 回答を商品説明書・契約書で残す



残価設定型住宅ローンそのものを悪者にする必要はありません。
でも「これなら高い家が買える」と言われたら、一度止まってください。月々の安さではなく、20年後・35年後に家族と家と借金がどうなるかで決めましょう。
家づくりのゴールは、豪華な家を契約することではありません。
教育費や旅行、老後の暮らしを犠牲にせず、家族が安心して住み続けられることです。
気になる住宅会社がある方は、まずは自分たちの予算、土地条件、好みのデザインに合うかを整理してみてください。
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