最近、住宅相談でかなり増えているのが、住宅ローンの借りすぎに関する不安です。
「銀行では4,000万円以上借りられると言われた」
「ハウスメーカーから、月々返済なら家賃とあまり変わらないと言われた」
「夫婦でペアローンにすれば、もっと良い家が建てられると言われた」
こういう話、本当に多いです。
悩んでいる人「年収500万円で4,000万円の住宅ローンって大丈夫?」
「銀行が貸してくれるなら返せるってことじゃないの?」
「家賃と同じくらいの返済なら、買った方が得なのかな?」



ここ、かなり危ないです。
銀行が貸してくれる金額と、家族が無理なく返せる金額は違います。特に今は金利・物価・教育費が上がりやすい時代なので、昔の感覚でギリギリまで借りるとかなり苦しくなります。
この記事では、建築士で元ハウスメーカー社員の筆者ぽりんきが、無理な住宅ローンを組んで老後破綻しやすい人の特徴を5つに分けて解説します。
住宅会社の営業担当が悪いと言いたいわけではありません。
ただ、営業現場では「審査に通る金額」と「暮らしていける金額」が混ざって説明されることがあります。
ここを見誤ると、家は建ったのに生活が苦しい、教育費が貯まらない、老後資金が残らないという状態になりかねません。
- 年収500万円で住宅ローン4,000万円がきつい理由
- 借りすぎで老後破綻しやすい人の特徴5選
- 家賃とローン返済額を比べる危険性
- 50年ローン・ペアローン・変動金利の注意点
- 年収別の安全寄りな借入額の目安
- 契約前に確認したい住宅ローンチェックリスト
「コストを抑えつつ、毎日の生活にゆとりを持たせたい」という方は、ぜひハウスメーカー選びの参考にしてくださいね。


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年収500万円で住宅ローン4,000万円は本当に危険なのか
最初に、数字で見ておきましょう。
年収500万円の手取りは、家族構成や社会保険料、住民税、扶養状況によって変わります。
ざっくり月平均にすると、手取りは30万円台前半になる方が多いです。
ここに4,000万円の住宅ローンを組むと、返済額は次のようになります。
| 借入額 | 金利1.0%・35年 | 金利1.5%・35年 | 金利2.0%・35年 |
| 3,500万円 | 約9.9万円/月 | 約10.7万円/月 | 約11.6万円/月 |
|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 約11.3万円/月 | 約12.2万円/月 | 約13.3万円/月 |
| 5,000万円 | 約14.1万円/月 | 約15.3万円/月 | 約16.6万円/月 |
| 5,900万円 | 約16.7万円/月 | 約18.1万円/月 | 約19.5万円/月 |
※35年元利均等返済・ボーナス払いなしで概算。実際の返済額は金利タイプ、保証料、団信、手数料、借入時期で変わります。
4,000万円を借りると、金利1.0%でも月々約11.3万円。
金利2.0%なら約13.3万円です。
ここに固定資産税、火災保険、地震保険、修繕費、車、教育費、老後資金が乗ってきます。
年収別の借入額の目安
住宅ローンの安全ラインは家庭によって違います。
ただ、相談現場の肌感としては、年収の7倍を超えるとかなり慎重に見た方がいいです。
| 年収 | かなり慎重に見たい借入額 | 年収7倍の目安 | 年収8倍の目安 |
| 400万円 | 2,800万円超 | 2,800万円 | 3,200万円 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 3,500万円超 | 3,500万円 | 4,000万円 |
| 600万円 | 4,200万円超 | 4,200万円 | 4,800万円 |
| 700万円 | 4,900万円超 | 4,900万円 | 5,600万円 |



もちろん、年収500万円でも貯金が多い、親の援助がある、車なし、子どもなし、共働き安定など条件が良ければ4,000万円でも成立する家庭はあります。
ただし「銀行が貸してくれるから大丈夫」という判断だけなら危険です。
借りすぎで老後破綻しやすい人の特徴5選
ここからは、住宅ローンで苦しくなりやすい人の特徴を5つ紹介します。
今回は、特徴1から5まで順番に見ていきます。
| 特徴 | 危険な考え方 | 起きやすい後悔 |
| 特徴1 | 家賃とローン返済額を比べる | 維持費を見落とす |
|---|---|---|
| 特徴2 | 今の年収がずっと続くと思う | ボーナス減・役職定年で苦しくなる |
| 特徴3 | 変動金利は上がらないと信じる | 返済額上昇に耐えられない |
| 特徴4 | ペアローンで世帯年収を目いっぱい使う | 休職・離婚・育休で詰まりやすい |
| 特徴5 | 営業担当の返済比率をそのまま信じる | 借りられる額まで借りてしまう |



この記事で伝えたいのは、「家を買うな」ではありません。
むしろ、家づくりで後悔しないために、ローンの組み方だけは契約前にかなり現実的に見てほしいという話です。
特徴1|家賃とローン返済額を比べている
借りすぎで苦しくなる人の特徴1つ目は、家賃とローン返済額を比べていることです。
営業現場でよくあるのが、次のような説明です。
「今の家賃が8万円なら、住宅ローン9万円でマイホームが持てます」
「家賃を払い続けるより、資産になる家を買った方が得です」
この説明、聞こえは良いです。
でも、持ち家には家賃にはない費用があります。
- 固定資産税
- 火災保険・地震保険
- 外壁・屋根・設備の修繕費
- 給湯器やエアコンの交換費
- 庭・外構・シロアリ対策などの維持費
たとえばローン返済が月9万円でも、固定資産税や修繕積立を月割りで考えると、実質負担は月11万〜12万円になることがあります。
ここを見落としていると、入居後に「あれ、思ったより余裕がない」となります。
住宅ローン控除で油断しすぎない
住宅ローン控除があるから大丈夫、と考える人もいます。
もちろん、住宅ローン控除は大きな制度です。
国税庁でも、住宅借入金等特別控除の制度が案内されています。
ただし、控除は家計の根本的な返済力を増やすものではありません。
税金が戻るからといって、毎月の返済が重すぎる状態を解決できるわけではないです。



住宅ローン控除をあてにしてギリギリのローンを組むのは危険です。
控除はありがたい制度ですが、「なくても払える」くらいの資金計画にしておく方が安心です。
特徴2|今の年収が定年まで続くと思っている
特徴2つ目は、今の年収が定年まで続くと思っていることです。
住宅ローンの審査は、基本的に今の年収を見ます。
でも、家計は35年続きます。
その間に、収入や支出はかなり変わります。
- 子どもの教育費が増える
- 車の買い替えが必要になる
- ボーナスが減る
- 転職や休職で収入が下がる
- 親の介護費用が出る
- 55歳前後の役職定年で年収が下がる可能性がある
相談でも多いのが、契約時点では払えそうに見えるケースです。
30代前半で残業代もボーナスもある。
子どもがまだ小さく、教育費もそこまでかかっていない。
この状態で返済額を決めると、後から家計が苦しくなりやすいです。



最近かなり多いのが、「今は払えるけど、教育費が始まったら怖い」という相談です。
住宅ローンは、今の家計ではなく、10年後・20年後の家計で払えるかまで見た方がいいです。
50年ローンは月々を下げられるが、リスクも長くなる
最近は、40年ローンや50年ローンの話も増えています。
たしかに、借入期間を延ばすと月々返済額は下がります。
たとえば5,000万円を金利1.0%で借りる場合、35年なら月々約14.1万円。
50年なら月々約10.6万円まで下がります。
| 借入条件 | 月々返済額の目安 |
| 5,000万円・金利1.0%・35年 | 約14.1万円 |
|---|---|
| 5,000万円・金利1.0%・50年 | 約10.6万円 |
月々で約3.5万円下がるので、審査上は通りやすく見えます。
でも、返済期間が長くなるということは、支払いが老後まで残りやすいということです。
30歳で50年ローンを組めば、完済は80歳です。
それまで健康で働けるか、退職金や年金生活に入っても返せるか。
ここまで考えてから選ぶ必要があります。
特徴3|変動金利は上がらないと信じ込んでいる
特徴3つ目は、「変動金利は上がらない」と信じ込んでいることです。
ここは、今の家づくりでかなり大事です。
長い間、日本では低金利が続いてきました。
そのため、営業現場でも「変動金利で大丈夫ですよ」という説明がよく使われてきました。
ただし、状況は変わっています。
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策などの大規模金融緩和の枠組みを見直し、2025年1月には短期の政策金利を0.25%引き上げ、0.5%程度としました。
金利が上がると返済額はどれくらい増える?
5,000万円を35年で借りる場合、金利が1.0%から2.0%になると、月々返済は約14.1万円から約16.6万円になります。
差額は月約2.5万円。
年間で約30万円です。
| 借入額 | 金利1.0% | 金利2.0% | 差額 |
| 4,000万円 | 約11.3万円/月 | 約13.3万円/月 | 約2.0万円/月 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 約14.1万円/月 | 約16.6万円/月 | 約2.5万円/月 |
| 5,900万円 | 約16.7万円/月 | 約19.5万円/月 | 約2.9万円/月 |
※金利上昇時の返済額は、既存借入の金利見直しルール、5年ルール・125%ルール、借入条件によって変わります。ここでは新規借入時の概算として比較しています。
月2万円〜3万円の増加は、家計にかなり効きます。
特に、最初からギリギリで借りている家庭ほど危険です。



「金利が上がったらその時考えます」は、かなり危ないです。
返済が苦しくなってから家計を見直すより、契約前に金利2.0%でも払えるかを試算しておいた方が安全です。
特徴4|ペアローンで世帯年収を目いっぱい借りている
特徴4つ目は、ペアローンで世帯年収を目いっぱい使っていることです。
夫婦それぞれに収入があると、借入可能額は大きくなります。
夫の年収500万円、妻の年収500万円なら、世帯年収1,000万円。
銀行や住宅会社から見ると、かなり大きな家を提案しやすくなります。
でも、ここにはリスクがあります。
- どちらか一方の収入が下がると返済が厳しい
- 育休・時短勤務を考慮していない
- 離婚時の売却や残債を想定していない
- ボーナス払いを前提にしている
- 教育費や老後資金を別で確保できていない
厚生労働省の人口動態統計によると、2023年の婚姻件数は47万4,741組、離婚件数は18万3,814組です。
もちろん、離婚件数を見て「だからペアローンは全部ダメ」と言いたいわけではありません。
ただ、住宅ローンは35年続く契約です。
夫婦どちらかの収入が下がった場合でも払えるかは、必ず見ておくべきです。



ペアローンは悪い制度ではありません。
でも「二人で目いっぱい借りる制度」ではなく、「二人で安全に返すための制度」として使うべきです。一人の収入でも最低限の生活が回るか、ここはかなり大事です。
特徴5|営業担当の返済比率をそのまま信じている
特徴5つ目は、営業担当から出された返済比率をそのまま信じていることです。
返済比率とは、年収に対して住宅ローンの年間返済額がどれくらいあるかを示す数字です。
住宅ローン審査では、この返済比率が重視されます。
ただし、審査上の返済比率と、生活上の安全な返済比率は違います。
たとえば年収500万円で5,900万円を借りると、金利1.0%・35年で月々約16.7万円。
手取りが月33万円前後なら、住宅ローンだけで約半分が消える計算です。
そこに固定資産税や修繕費が加わります。
これでは、家のために働く状態になりやすいです。
- 借入可能額|銀行審査で通る可能性がある金額
- 返せる額|生活費・教育費・老後資金を残して返せる金額
- 安心できる額|金利上昇や収入減があっても崩れにくい金額
相談現場で大事にしているのは、最後の「安心できる額」です。
住宅ローンは、通れば勝ちではありません。
返しながら家族が普通に暮らせて、たまには旅行や外食もできて、教育費や老後資金も積み立てられることが大切です。
年収500万円なら住宅ローンはいくらまでが目安?
では、年収500万円ならいくらまでが目安なのでしょうか。
かなり厳しめに言うと、年収500万円なら3,500万円前後をひとつの目安にしたいです。
4,000万円は、年収の8倍です。
家庭条件によっては成立しますが、金利上昇や教育費、車の維持費がある家庭ではかなり慎重に見た方がいいです。
年収500万円で確認したい家計ライン
- 住宅ローン返済は月10万円前後に収められるか
- 固定資産税・修繕費を別で月2万〜3万円見ているか
- 車のローンや教育費を含めても赤字にならないか
- ボーナス払いなしでも返せるか
- 金利2.0%でも生活できるか
- 生活防衛資金を残しているか
住宅ローンは、少し余白があるくらいでちょうどいいです。
家を建てた後の人生は、ローン返済だけではありません。
子どもの習い事、旅行、車、親の介護、自分たちの老後。
こうしたお金をすべて削って家だけに使うと、せっかくのマイホームが重荷になります。



僕は、家を小さくすることやエリアを変えることを、負けだとは思っていません。
むしろ、無理なく暮らせる予算に収める方が、家づくりとしてはかなり上手です。
住宅ローンで失敗しないために契約前にやること
ここまで読んで「ちょっと不安になってきた」という方もいると思います。
でも、不安になるだけで終わらせなくて大丈夫です。
契約前に次の順番で整理すれば、住宅ローンの失敗はかなり減らせます。
- 月々返済だけでなく総住居費を見る
固定資産税・修繕費・保険料まで含める - 金利2.0%でも試算する
変動金利だけの低い返済額で判断しない - ボーナス払いを前提にしない
ボーナス減でも崩れない返済にする - 教育費と老後資金を別枠で残す
住宅費で家計を埋め尽くさない - 借入先を比較する
銀行によって金利や条件が変わる
すでに住宅ローンを借りている方も、借りっぱなしで放置しない方がいいです。
金利タイプの見直し、借り換え、繰り上げ返済、家計の固定費削減など、できることはあります。
住宅ローン比較や借り換え診断を使う場合は、広告や診断結果をうのみにせず、手数料・団信・保証料・総返済額まで確認してください。
- 金利タイプ
- 団体信用生命保険の内容
- 事務手数料
- 保証料
- 繰り上げ返済手数料
- 借り換え時の諸費用
- 総返済額
参考として、住宅ローン比較サービスを使うなら、次のような選択肢もあります。
※提供:株式会社MFS
よくある質問
- 年収500万円で4,000万円の住宅ローンは絶対にダメですか?
-
絶対にダメではありません。ただし、金利上昇、固定資産税、修繕費、教育費、車の維持費まで含めるとかなり慎重に見るべき金額です。貯金・共働き・車なし・子どもの人数など家庭条件によって判断が変わります。
- 住宅ローンは年収の何倍までが目安ですか?
-
相談現場の感覚では、年収の7倍を超えると慎重に見たいです。年収500万円なら3,500万円前後がひとつの目安で、4,000万円は条件次第、5,000万円はかなり危険度が高いと考えます。
- 50年ローンはやめた方がいいですか?
-
50年ローンは月々返済を下げられる一方で、返済期間が老後まで残りやすくなります。使うなら、35年でも返せる人が資金計画上の余白を作る目的で使うなど、慎重な設計が必要です。
- ペアローンは危険ですか?
-
ペアローン自体が危険なわけではありません。ただし、夫婦二人の収入を目いっぱい使って借りると、育休・休職・離婚・収入減のときに一気に苦しくなります。一人の収入でも最低限の生活が回るか確認しましょう。
まとめ|借りられる額ではなく、暮らせる額で家を建てよう
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 家賃とローンだけで比較しない
- 固定資産税・修繕費・保険料を入れて考える
- 金利2.0%でも返せるか確認する
- ボーナス払いを前提にしない
- 年収500万円なら3,500万円前後を目安に慎重に見る
- 銀行が貸してくれる上限まで借りる
- 営業担当の「大丈夫」をそのまま信じる
- 50年ローンで月々だけ下げて安心する
- ペアローンで世帯年収を目いっぱい使う
- 住宅ローン控除やボーナスを前提にギリギリで組む
最近、「自分たちはいくらまで借りていいのかわからない」という相談が本当に増えています。
家づくりは、土地や間取りより先に予算の上限を決めた方が失敗しにくいです。
予算が曖昧なまま進むと、住宅会社の提案に引っ張られて、気づいたら返済が重い家づくりになってしまいます。



家は、建てて終わりではありません。
建てたあとに家族が笑って暮らせることが一番大切です。少し小さくても、少しエリアを変えても、無理なく払える家の方が結果的に満足度は高くなりやすいです。
家づくりに迷っている方は、まずはハウスメーカー相性診断で自分に向いている会社を見つけることから始めましょう。










