変形地を選んで後悔する7つのポイント！間取りアイデアやおすすめハウスメーカーも解説

土地の購入を考える際、変形地の価格の安さに魅力を感じて気になった方も多いのではないでしょうか。しかし、変形地には独自の特性があり、その特徴を知らずに買ってしまうと後悔する可能性が高いです。

この記事では、建築士で元ハウスメーカー社員の筆者ぽりんきが、変形地の特徴やメリット・デメリット、購入時の注意点について詳しく説明します。また、変形地にも強いハウスメーカーも紹介しているので、これから家を建てようと検討している方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

変形地とは何かを簡単解説

変形地とは、通常の四角形ではなく、さまざまな不規則な形をしている土地を指します。変形地には、以下のような形状があります。

これらの土地は一般的な整形地に比べて需要が少ないため、価格が安いことが多いです。また、土地の評価額が低くなることが多いので、その分固定資産税が安くなるメリットもあります。そのため、変形地に対するノウハウがある業者などは、積極的に変形地を買い付けることもあります。

しかし、個人で土地から購入してマイホームを建てる場合は、何も知らずに買うと後悔する可能性が高いです。購入前に、変形地の後悔ポイントや注意点について知っておけば、失敗を防げますよ。

変形地を選んで後悔する7つの後悔ポイント

変形地にはメリットだけでなく、デメリットも多くあります。これらを理解しておかないと、購入後に後悔することになるかもしれません。ここでは変形地を選んで後悔するポイントを7つに分けて解説していきます。

1_資産価値が下がりやすい

変形地は整形地に比べて需要が少ないため、資産価値としては低くなります。将来的に売却を考える場合、通常よりも買い手がつきにくいため希望する価格で売れない可能性が高いです。

変形地を購入して将来的には売却も考えるという方は、需要の高いエリアの土地を選びましょう。

人気エリアの土地は流動性が高く、変形地でも買い手がつきやすいのでおすすめです。

2_造成費用などが多くかかる可能性がある

傾斜地のような変形地の場合、住宅を建てる前に土地の高低差を調整する必要がでてきます。地面を削る、あるいは反対に盛土をするなどして整える際に発生する土地造成費用、擁壁工事費用などが余計にかかる可能性が高いです。

変形地を価格面で判断する時は、切土や盛り土にかかる費用も含めて安いかどうかを判断すると良いでしょう。

3_デッドスペースができやすい

変形地では、間取りを工夫しないと無駄なスペース、いわゆるデッドスペースが生まれやすくなります。例えば、三角形の土地に長方形の住宅を建てると、角のスペースはデッドスペースになってしまいます。

デッドスペースでも、ある程度の広さがあるのであれば駐車場やガーデニングを楽しむスペースにしてもいいですね。駐車場にできるほど広くないという場合には、ウッドデッキを作ればリビングの延長として利用でき、見た目にもおしゃれになるのでおすすめです。

4_建築費用が上がりやすい

変形地は設計が複雑になるため、建築費用が高くなることがあります。土地の形に合わせた設計が必要になるため、近年注目を集めている「規格住宅」や「セミオーダー」は利用できません。

変形地では基本的に完全自由設計で建てることになるので、施工費を抑えることが難しくなります。規格住宅やセミオーダーで建てようと考えている方は注意が必要です。

5_風水的な懸念

風水では、変形した土地は運気が乱れやすいと考えられています。

特に三角形の土地は注意が必要とされ、その形状が刃物や槍を連想させることから「不安定な気を招く」と言われるため、気になる方は注意しましょう。

また、Y字の三差路に面した土地は「槍殺（そうさつ）」と呼ばれ、鋭角部分が周囲に影響を及ぼすされています。近隣とのトラブルが起こりやすい、人間関係が悪化しやすいなどの影響がでるとも言われるので、不安な方は避けた方が良いでしょう。

6_部屋数が少なくなる

変形地では特有の斜めの部分や狭い部分が使いにくく、効率的な間取りが難しくなります。また、採光や通風の都合も考えなくてはなりません。部屋を増やしすぎると窓の配置が難しくなり、暗くなりがちです。

部屋数の問題は、設計の工夫次第で解決できますよ。

7_耐震性に影響が出る

変形地に合わせて凹凸の多い建物を建てると、揺れが集中しやすい部分（応力集中）が生じ、耐震性が低下する可能性があります。例えば、L字型や三角形の家は一部の壁や柱に負担がかかりやすく、耐震性を考慮した補強が必要になります。

耐震性能の良い家を建てるハウスメーカーを選ぶとより安心ですね。地震に強いハウスメーカーは、こちらの記事でも紹介しているので参考にしてください。

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変形地の間取りアイデア4選

変形地でも工夫を凝らせば、快適で機能的な家を建てることができます。ここでは実際の建築例とともに、変形地の間取りアイデアをご紹介します。

1_三角形の土地｜デッドスペースを坪庭に活用

こちらの建築例では、三角形の変形地に平屋を建てています。デッドスペースになった部分を坪庭にすることで土地をフル活用。土地の形を活かしたLDKは、坪庭からの光と風をたっぷり取り込めます。

2_S字にクランクした土地｜屋上やビルトインガレージを活用

S字に曲がった変形地も、屋上やバルコニーを活用することで個性的で開放感のある間取りを実現できます。道路に面した1階部分をビルトインガレージにすれば、駐車スペースも確保できて利便性も高まります。

3_L字型の土地｜スキップフロアで快適空間を実現

こちらは限られたスペースを利用するため、スキップフロアを活用した建築例です。工夫次第で変形・狭小地でも快適なスペースを確保できますよ。

4_細長い土地（うなぎの寝床）｜印象的なペンシルハウスで奥行きを活かす

短辺が道路に面していて奥行きが長いような細長の土地を、うなぎの姿に例えて「うなぎの寝床」と呼ぶことがあります。そのような細長の土地でも、デザイン次第でとても印象的な家に仕上がりますよ。

この建築例では、居住空間を増やすために3階建てにし、光を取り込みやすい2階リビングの間取りになっています。LDKの中心には長いダイニングテーブル兼作業机を設置し、広々とした作業スペースを確保しているので使い勝手も良さそうですね。

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変形地を選ぶ際の6つの注意点

変形地は価格が安いメリットもありますが、デメリットも多いので注意が必要です。土地でコストを抑えても、施工費用が高くなって結果損になることも。後悔しないためにも、ここでは変形地を選ぶ際の注意点について詳しく見ていきましょう。

接道条件を確認する

変形地は道路に接する幅が狭いことが多く、建築基準法を満たさない場合があります。

土地を買ってからハウスメーカーに行ったら「基準を満たしていないので建てられませんよ」と言われてしまうことも。そのため、事前に接道条件を確認し、住宅を建築可能かどうかを確かめることが必要です。

建築費を事前に見積もる

通常の整形地に比べて施工費用が高くなる可能性があるため、事前に施工業者に見積もりを依頼することが重要です。

土地を不動産屋で自分で買ってからハウスメーカーで建築費用の見積もりをとると、土地代で浮いた金額以上に施工費用が高くなってしまった、ということがおこりやすいです。そのため、可能な限り土地探しもハウスメーカーに一任すると失敗を防げますよ。

地盤の強さをハザードマップで確認しておく

変形地で安く土地を購入しても、地盤改良工事が必要になってしまっては元も子もありません。

土地を購入する際には土地価格だけではなく、地盤の強さも事前にチェックしておきましょう。

将来の売却を考慮しておく

将来的に売却を考える場合、変形地は買い手がつきにくいため、できるだけ利便性の高いエリアを選ぶことがポイントです。

利便性が良く人気のあるエリアであれば流動性が高いので、変形地であっても売れやすいでしょう。また、周辺環境やインフラの整備状況を確認し、将来性を見極めることも重要です。

ゴミ捨て場までの距離を確認する

変形地に限らず、住宅用の土地選びで注意したいのはゴミ捨て場までの距離です。週に2回以上は利用するゴミ捨て場。家から遠いところにあったら不便ですよね。また、設置場所が民家に隣接している場合、「新参者には使わせない」などと嫌がらせを受けるケースも少なくありません。せっかくの新居なのに、ゴミ捨て場のことで嫌な思いは避けたいですよね。

ゴミ捨て場までの距離や設置場所は意外と見落としがちなので、ぜひチェックしておくと良いですよ。

公園が近くにあるか

公園は子どもの遊び場としてはもちろん、一時集合場所（避難所）としても機能する場合が多いです。

学校のグラウンドや公園などは周りに倒壊する恐れのあるものが少ないですので、震災のときの避難場所として最適です。

地盤が弱い土地などでは特に、公園などの一時集合場所や避難所が近くにあることを確認しておきましょう。

変形地にも強いハウスメーカー9選

変形地に家を建てる場合には、ハウスメーカー選びを慎重に行う必要があります。注目するポイントは「耐震性」、「最小モジュール」、変形地の「施工実績」の3つです。

この章では、変形地にも強いハウスメーカーをハイブランド系、ミドルコスト系、ローコスト系と価格帯別に分けてご紹介します。ぜひ、ハウスメーカー選びの参考材料にしてくださいね。

ハイブランド系ハウスメーカー

ヘーベルハウス

鉄骨造にも関わらず震度7相当の大地震23回連続加震にも耐える抜群の耐震性能が魅力。耐火性能も高く、外壁に使われるALCコンクリート「へーベル」が隣家からの燃え移りを防ぎます。

ヘーベルハウスの「FREX」シリーズは重量鉄骨造で作られており、抜群の耐震性を誇ります。構造躯体が頑強であるため、大開口をとるなど柔軟な設計が可能です。3階建ても可能なうえ敷地対応力にも優れたモデルなので、変形地との相性も良い商品ですよ。

三井ホーム

デザイン力に長けた住宅業界のリーディングカンパニー。独自のMOCX WALL工法によって強靭な構造躯体を実現しています。3階建ての実験（プレミアム・モノコックS）では震度7相当の連続加振29回に耐えた実績があります。

限られた土地でも、デザイン性に優れた住宅を建てられるのが三井ホームの特徴です。また、高強度の耐力壁「MOCX WALL」を使用することで、従来のツーバイフォー工法では難しかった大開口も可能になりました。

パナソニックホームズ

縦横15cmの最小モジュール設計により、敷地対応力が高いことが特徴。高層ビル建築で使われる耐震構造を住宅に応用した制震鉄骨軸組構造（HS構法）で耐震性能もトップクラスです。

パナソニックホームズは耐震性に非常に優れたハウスメーカーです。大地震57回に加えて中地震83回の合計140回の限界加振実験にも耐えた耐震性能を誇ります。この実験では、屋根は瓦屋根、さらに太陽光パネルを乗せ、外壁はキラテックという重量のあるタイルを装備した状態で行っています。通常、住宅は重ければ重いほど地震に弱くなりますが、パナソニックホームズはあえて厳しい条件で実験を行い、限界加振に耐えることを証明していますので安心感があります。

また、変形地において重要な設計最小モジュールは縦横15cmなので、敷地の形状に合わせた柔軟な設計が可能です。

ミドルコスト系ハウスメーカー

アイ工務店

横の最小モジュールは1cmピッチで設計可能。高気密・高断熱の住宅を坪単価72万円前後で建てられるコストパフォーマンスの高さが人気です。

アイ工務店では、リビングやダイニング、居室、収納等のスペースが1cmピッチで設計可能です。半地下やダウンフロア、スキップフロアなども得意なので、限られた敷地の中で居住空間を広く取りたい場合にもおすすめのハウスメーカーです。耐震性能に関しては、設計の段階で耐震等級3になるように希望すれば対応してくれますよ。

ヤマト住建

屋上庭園付きの商品プランも展開。耐震等級3が標準仕様で耐震性能も安心。

ヤマト住建では耐震等級3が標準仕様であることに加えて、制振装置「evoltz（エヴォルツ）」による揺れを抑える機能が付いています。繰り返しの地震でも変わらない性能を発揮するので、住宅へのダメージも最小限に抑えられます。

ヤマト住建では屋上庭園付きの商品をお手頃価格で販売しています。限られた敷地だからこそ、屋上庭園があると生活が華やぎますよね。パッケージ化されているため、自分の土地に合う間取りのものがあるか確認が必要ですが、多様なパターンが用意されているのでぜひ候補に入れてみてください。

ローコスト系ハウスメーカー

アイダ設計

狭小地の実績が豊富だからこそ、狭小地のための追加設計料は0円！「正直価格」でお財布にも優しいハウスメーカーです。

「良い家は高いの常識を覆す」をテーマに掲げ、徹底したコスト管理を行っています。そのため、自由設計でありながらもコストを抑えて建てることが可能です。また、設計が難しいとされる狭小地での実績も豊富で、追加設計料もかからず安心です。

オープンハウス

「あらゆる土地に対応可能です」と明言する通り、敷地対応能力に秀でたハウスメーカーです。

オープンハウスは変形地での住宅設計を得意としており、他社では難しいと言われた土地の形でも、オープンハウスなら可能というケースもあるほどです。変形地での施工実績が多いので、通常では買い付けが難しい人気エリアの土地も積極的に買い付けしています。希望するエリアがあれば、土地選びからオープンハウスに一任するやり方がおすすめですよ。

まとめ｜変形地を選んでも後悔なく理想の家を建てよう

この記事では、変形地を選ぶと後悔する理由について詳しく解説してきました。

後悔のない理想の住まいを実現するためには、そのハウスメーカーの強みや弱みを知ることが重要です。

また、一社だけではなく複数のハウスメーカーを比較するとより良い選択肢が見つかるでしょう。一括資料請求サービスを使えば各ハウスメーカーの情報を簡単に集めることができます。ぜひ積極的に利用して、理想のハウスメーカーを見つけてくださいね。